野田が目論む「長期政権」構想
党内外に布石着々
2011年11月号
政権発足から二カ月。首相野田佳彦の評価が割れる。やがて大化けする「未完の大器」なのか、それとも大陸的な風貌そのままの「凡庸なリーダー」なのか――。両極の評価が交錯する中で、つかみどころのないように見えて実は相当したたかに長期政権を目論む野田戦略の片鱗が徐々に姿を現してきた。最近野田がしばしば口にするフレーズがある。
「ご祝儀相場であるにせよ発足時の支持率が高すぎた。支持率にとらわれず地道に一歩一歩やるしかない」
確かに一〇%台に低迷していた首相菅直人の内閣支持率が野田の就任と同時に一気に六〇%台に跳ね上がった。一カ月後の支持率は概ね五〇%台になったものの、それでも何一つ具体的成果のない内閣の数字ではない。発足直後の経済産業相鉢呂吉雄の辞任劇も大事に至らず収束した。
「二年間で三人目の首相をこれ以上代えては国益をさらに毀損する。野党側にも自制が働いているのではないか」
野田の側近はそう分析する。「落ち着いた政治を取り戻したい」という厭戦気分が野田に味方していることも事実に違いない。
だが、それだけで野田政権の不思議な安定感の説明にはならない。それを読み解くキ・・・