前首相菅直人が環太平洋経済連携協定(TPP)参加に強い意欲を表明してから一年が過ぎた。九月の初訪米で大統領オバマのいらだちを肌で感じた首相野田佳彦は、十一月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までに「交渉参加」で党内の意見集約に努めるよう党執行部に協力を要請した。
一種の出来レース
これを受けて政調会長前原誠司が新設したのが「経済連携プロジェクトチーム(PT)」。十月十四日の初総会は案の定、荒れた。
座長の前経済産業相鉢呂吉雄に続き、五人の顧問が交渉参加に前向きな意見を順次開陳し、前農林水産相山田正彦にあいさつの順番が回ってきた時だ。
「私は『TPPを慎重に考える会』百九十一人の代表だ。党内の半分は慎重論なのに、役員構成が公平でない。スケジュール感も、何でこんなに急いでやるのか納得がいかない。こういう形では顧問はできない」
山田はひな壇に用意された顧問席には座らず、一般席から怒気を含んだ声でまくしたてた。緊張感が漂う中で役員あいさつが終わり、事務局が報道陣に退出を求めると、今度は「国の形が変わる恐れがある大きな問題だ。民主党らしくテ・・・