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プーチン再登板で 何が変わるか

大統領選後に強権発動

2011年11月号

 ロシアで最も正しいとされる世論調査はクレムリンが握っており、その数字は公に発表されない。最新の調査では「プーチン首相の支持率は四〇%すれすれまで落ち込んでいた」(ロシア外交専門家)という。プーチン体制が長期化することについて、ロシア国民は冷ややかに反応しており、それが数字に表れているのだ。欧米が経済的に行き詰まりを見せる中で、ロシアの先行きに不安材料は少ないようにも見える。そうした中での、プーチン首相の大統領選出馬表明の背景にはなにがあったのか。

国内引き締めに躍起

 一部で語られている「プーチンがメドベージェフとの権力争いに勝った」という見立ては的外れだ。両者の主従関係は現在に至っても揺らいでいない。そして支持率が低下しているとはいえ、反発勢力の芽は摘んでおり、対抗する人物が現れる可能性も皆無だ。ロシアの政界関係者の一人はこう語る。 「『アラブの春』はプーチンの背中を押した」  北アフリカや中東で吹き荒れた民主化運動は、二〇〇〇年代に入って旧共産圏諸国、特に旧ソ連諸国を襲った「カラー革命」をクレムリンに想起させた。モスクワに住む日本人駐在員はこ・・・