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ブラジル「通貨急落」はまだ序の口

欧州問題と日本マネーが時限爆弾に

2011年11月号

「政府支出を削減する。世界の景気減速に備えて中央銀行に利下げする選択肢を与える」。マンテガ財務相は八月二十九日、こう述べた。ブラジル中央銀行はその二日後、突如として政策金利を一二・五%から一二%へ引き下げた。想定外の利下げは市場を驚かせ、翌日からレアルは急落。欧州債務問題による「世界的な資本逃避」とタイミングが重なり、ドルに対し一九%も急落し、世界で最も売られた通貨の一つとなった。本誌九月号で指摘したレアル急落の危険性が現実のものとなったのだ。  これに対して中銀は一転、「一ドル=一・九〇レアル」を防衛ラインとしてドル売り介入を断続的に行い、現在は何とか難局を乗り切ったかに見える。だが、この試練などまだまだ序の口だ。欧州債務問題に揺れる世界で、「構造的な爆弾」を抱えるブラジル経済の崩壊が始まるのはこれからなのだ。

リーマンショック以上の大崩落

「ブラジルは利下げの機会を逃すことはできない」「一〇%台まで金利は下がるだろう」。ルセフ大統領はサプライズ利下げの後にこう述べた。まるで政策運営者の言葉か、そうでなければ「予言者」である。現地エスタド紙は「中銀の支・・・