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核大国」ちらつかせる パキスタン

米国を嘲笑う「三軍統合情報部」

2011年11月号

 開戦から十年が経過したアフガニスタン戦争は、旧支配勢力タリバーンなどの武装勢力の攻撃が強まるばかりで泥沼化している。そんな中、首都カブールで起きた米大使館襲撃や、ラバニ元大統領暗殺などの一連の攻撃について、米・アフガン両国から、「パキスタン軍の情報機関『三軍統合情報部』(ISI)が関与した」との非難の声が強まっている。しかし、ISIは安泰だ。無能で腐敗した民政政権の悪政に苦しむパキスタン国民は、「清廉潔白」と信じる軍に国の安定を期待するしかないからだ。民衆に支持された事実上の「軍事政権」が今のパキスタンの姿だ。「核」という印籠すら持っており、パキスタンの扱いを一歩誤れば、北朝鮮のように暴走しかねない危険をはらんでいる。

「核による報復も辞さない」

 すでにパキスタンは核カードをちらつかせ始めている。軍の最高権力者、キアニ陸軍参謀長は十月十九日、非公開の議会公聴会で、パキスタンが核保有国であることを指摘した上で「米国が、一方的な軍事作戦を(パキスタン国内で)実施するならば、その前に十回は思い悩むだろう」と語った。翌日のインド主要紙「タイムズ・オブ・インディア」・・・