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アラブは過激化しない

「穏健なイスラム」が台頭

2011年11月号

 リビアのカダフィ指導者が衝撃的な最期を迎えたことで、中東にはこれからも各地に暴力と混乱が渦巻くのではないかと不安視する見方が広がっている。その多くは感情的、短絡的なものだが、合理的かつ冷静な分析を見てもまた、明るい見通しは少ない。  そんな中で実施されたのが十月二十三日のチュニジアの制憲議会選挙であった。事前の予想どおり、イスラム過激主義運動であるナハダ党が第一党に躍り出た。「ナハダ」とは「ルネサンス(=復興)」を意味し、イスラムへの回帰がアラブ世界を欧米の植民地主義の頸木から解放するとの主張を柱とする、れっきとしたイスラム過激主義の政党だ。

注目のエジプト総選挙

 前身であるナハダ運動は、一九八〇年代にアラブ世界の趨勢で言えば遅れて誕生し、また、誕生後も政権によって厳しく封じ込められていた。チュニジア建国の父・ブルギバ(初代大統領)がテレビ会見を通じて断食をやめるよう国民に訴えるなど開明的、親欧米的な世俗主義者だったことはその大きな理由のひとつだが、その後隣国アルジェリアでイスラム過激主義勢力と世俗的守旧派間の内戦が勃発するなどの周辺環境にも影響され・・・