アラブは過激化しない
「穏健なイスラム」が台頭
2011年11月号
リビアのカダフィ指導者が衝撃的な最期を迎えたことで、中東にはこれからも各地に暴力と混乱が渦巻くのではないかと不安視する見方が広がっている。その多くは感情的、短絡的なものだが、合理的かつ冷静な分析を見てもまた、明るい見通しは少ない。
そんな中で実施されたのが十月二十三日のチュニジアの制憲議会選挙であった。事前の予想どおり、イスラム過激主義運動であるナハダ党が第一党に躍り出た。「ナハダ」とは「ルネサンス(=復興)」を意味し、イスラムへの回帰がアラブ世界を欧米の植民地主義の頸木から解放するとの主張を柱とする、れっきとしたイスラム過激主義の政党だ。