胡散臭い「欧州金融安定化基金」
サブプライム並み
2011年11月号
混迷を深める欧州債務危機に対して欧州連合(EU)が打ち出す対応策が手詰まりに陥っていることは、もはや誰の目にも明らかだ。
九月二十九日にドイツ連邦議会が欧州金融安定化ファシリティ(EFSF、欧州金融安定化基金)の拡充案を批准採決した際に、同国のショイブレ財務相は「ドイツの保証額は二千百十億ユーロ。これで全部。これで最後だ」と語った。ところが、それから一カ月と経たない十月二十三日・二十六日の欧州理事会(EU首脳会議)では、早くもEFSFの再拡充案が俎上に載せられたのである。しかも、この再拡充案は「EFSFにレバレッジを効かせる」というウルトラCを狙ったものだった。
確かに、レバレッジを効かせれば保証額を上積みせずに資金調達額を増やすことができる。世論調査によれば、ドイツ国民の半数以上(五八%)はすでに一回目の拡充案に反対している。最大出資国のドイツだけではない。十月十一日には、スロバキア議会が実際に拡充案の批准を一旦否決している。EUが「基本価値」として標榜する民主主義のシステムを前提とする限り、EFSFに対するこれ以上の保証額の拡大を期待することは制度的に困難である。
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