「ウォール街占拠運動」の行方
米政治の転換点になる可能性も
2011年11月号
ノーベル経済学賞学者ジョセフ・スティグリッツ教授の予言は当たった。同教授は月刊誌「ヴァニティフェア」五月号に「一%の、一%による、一%のための」と題する長文の記事を寄稿した。その中で、米国でもやがて中東で起こっているような抗議運動が始まるだろうとしていた。
「九九%」による抗議行動は野火のごとく広がった。「オキュパイ・ウォールストリート(ウォール街占拠)運動」のウェブサイトの「オキュパイ・トゥギァザー」によれば、十月二十六日段階で一千五百以上の都市で集会が行われている。実は今回の動きは、それほど突発的に登場したのではない。
「運動に関する議論は進歩派の組織やブログで数年にわたって行われてきた」
ビラノバ大学のマシュー・ケーペル教授はこう指摘している。新自由主義(ネオリベラリズム)への不満はマグマのように米国社会の底流に蓄積していたのだ。