《日本のサンクチュアリ》記者クラブ制度
これでは真実は伝わらない
2011年10月号
「記者クラブ」という制度が持つ問題はかねて指摘されてきた。しかしながら、既存クラブ加盟報道各社はこれをかたくなに死守する姿勢を基本的に崩していない。
東日本大震災後、記者クラブ制度の矛盾が露呈したのは、原発事故報道の情報の質と経路であった。記者クラブ所属メディアが政府・東京電力の発表を垂れ流した一方で、米国政府を経由したより詳細な情報が、米メディアにより報じられたのだ。このことは、本誌五月号の巻頭インタビューでマーティン・ファクラー氏が指摘し、日本のメディアは記者クラブに安住し、権力の側から情報を与えられることに慣れ過ぎていると批判している。「口を開けて餌を待つヒナ」ということだ。
原発事故報道における情報は、多重のフィルターを通されていた。まず、根本的な問題として東京電力でさえ知り得ない「ブラック・ボックス」が存在したことだ。本誌七月号「『主犯GE』フクシマの罪」で触れている通り、東電でさえ、事故の全貌を把握できていなかった。
その上で、東電は知り得る情報の中で自らに都合のいいものを選び出した。・・・