アマ碁界トップに君臨する85歳
平田博則の衰えない秘密
2011年10月号
風薫る五月二十九日から四日間「世界アマチュア囲碁選手権戦」が、島根県松江市で開催された。囲碁のアマ世界一を決める本大会は今年で第三十二回を迎え、世界各国の代表五十七名が集結したが、その中でひと際存在感を示したのが日本代表の平田博則であった。
近年、囲碁の世界的な普及は目を見張るものがあり、急激な普及ぶりを反映して参加選手の年齢は若く、十代から二十代が多数を占めている。そんな中、大正十五(一九二六)年六月生まれの八十四歳は、各国選手を驚嘆させた。一日に二局対局し、四日間で八局というハードスケジュールは、八十四歳にとって過酷なものであったに違いない。しかし、平田の応援を兼ね体調を気遣って会場に馳せ参じた、娘婿で医師の森田弘之氏の出番など全くない元気さであった。
大会の結果は、優勝・中国の白宝祥(十八歳)、準優勝・韓国(二十一歳)、三位・アメリカ(二十二歳)、四位・フランス(十八歳)。そして平田は見事に五位入賞を果たした。「個人戦と違って、日本の代表を背負っての戦いですから、ひどい結果になりたくないし、それなりのプレッシャーはありました。まあ所詮は実力相応でしょう」・・・