買収対象に成り下がる野村證券
収益「ガタ落ち」で独立路線に限界
2011年10月号
あの野村證券が銀行の軍門に降る―。こう思わざるを得ない象徴的な出来事が発生した。九月六日、野村ホールディングスの株価は下落、二百九十一円でその日の取引を終えた。同水準は大和証券グループ本社の同日終値二百九十三円を下回るもの。この逆転劇は前代未聞の出来事だった。
「野村といえども、厳しい経済環境のなかで、大銀行の傘下に入るしかないことを市場が示唆した」
近年の証券会社の株価の推移を踏まえて、この出来事を興味深げに説明するのは外資系証券の幹部だ。大和証券は二〇〇九年に三井住友フィナンシャルグループとの資本提携を解消した以後、業績低迷に直面。株価の動きはそれを率直に反映し、低空飛行を続けてきた。
だが一方の野村も株価を下げ続け、そんな大和証券の株価に次第に接近していった。一時的にせよ、大和証券に野村の株価が割り負けたのはその「下地」があったからこそだ。米国で突如浮上した巨額の訴訟リスクに加え、リーマン・ブラザーズ買収以降に高まる社内の軋轢、さらには慢性的な収益力の低下……。まさに内憂外患を抱えた野村の独立路線には明らかに黄信号が灯っている。