世界経済「炎上」に打つ手なし
「長期デフレと低成長」時代に突入
2011年10月号
「いやあ、マーケットが、何を織り込んで六十年ぶりの超低金利になったか、を考えると、夜も眠れなくなるよ」
つい一カ月前には債券買いを仕掛けていた米国系ヘッジファンドの運用担当者がこう首をかしげた。あまりにも長期金利が下がり(当然、債券価格は暴騰)、大成功してしまったので、少々気味が悪くなっているらしい。
それはそうだろう。米国十年物国債の金利は一・八%台と、実に六十年ぶりという超低金利に突入した。欧州主要国でも事情は同じで、ドイツ十年物国債は一・八%台、英国でも二・三%台だ。
前述のファンド担当者は次の点に注目する。通常、債券の超低金利化は、景気の過熱を受けた政策当局が金融を引き締め、これによって発生した景気後退が金融緩和をもたらすという段階を踏む。
ところが今回はリーマン・ショック後の景気のドン底からわずか三年。米国や欧州の経済は好況にはほど遠かった。この間に行われたことといえば、金融緩和と今にしてみれば不十分な景気刺激策のみ。結局、米国も欧州も高い失業率に悩まされ続けている。
この三年の財政赤字の膨張に戸惑った世界は、赤字削減に踏・・・