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政治

《罪深きはこの官僚》今井 敏 (農林水産省生産局長)

「汚染牛拡大」でいまだ反省の弁なし

2011年10月号

 


 福島県から岩手県や新潟県、山形県などに飛び火した、一連の汚染牛騒動。「屋外に放置された稲わらが放射性セシウムを含む雨水を吸収して高濃度化し、それを牛が食べた」という汚染経緯も明らかになっている。  

 広範囲の放射能汚染と食物連鎖での濃縮―この誰もが知っている基礎的知識から汚染牛被害の拡大を食い止めることができなかったのが、今井敏・農林水産省生産局長である。生産局長というのは、製造会社の工場長に相当するポストで、あらゆる農産物の収率低下要因の把握と対策実施に全力を尽くす責務を負っている。  

 しかし大震災直後の原発事故対応で、今井は決定的なミスを犯した。三月十九日に農水省が出した通知「原子力発電所事故を踏まえた家畜の飼養管理について」のことだ。この通知は東北と関東の各都県に加え、家畜保健衛生所や農協などの業界団体を通じて周知徹底されることになっていたが、大半の畜産農家は通知の存在さえ知らなかった。「震災直後の混乱の中で周知徹底されなかったのは仕方がない」との声もあるが、通知内容自体にも大きな問・・・