《政界スキャン》
政治家だけに日本を任せるな
2011年10月号
国際社会における日本のポジションが気になっている。さまざまな格付けの数字が出ていて、信用できるものもできないものもあるが、総じてレベルダウンを示しているのだ。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われたのははるか昔のことである。だが、どの程度この国は坂を下ってしまったのか。
野田佳彦新首相は初の所信表明演説(九月十三日)で、
「『政治が指導力を発揮せず、物事を先送りする』ことを『日本化する』と表現して、やゆする海外の論調があります。これまで積み上げてきた『国家の信用』が今、危機に瀕しています」
と述べた。三十分余の演説のなかで、同趣旨の「国家の信用」という言葉が三度もでてくる。はじめてのことだ。日本の信用力は落ちているかもしれないが、新首相が繰り返さなければならないほど危機的なのか。かりにそれに近い状態だとしても、国のトップが危機感をあおるような発言をするのは賛成できない。
また、信用と国力は違う。国と国の関係は、いつの時代も信頼と不信が混在・・・