「器量不足」露呈の輿石幹事長
政権・党運営の「アキレス腱」
2011年10月号
新首相・野田佳彦から民主党政権立て直しのカギを握る幹事長の重責を託された参院議員会長・輿石東。お世辞にも「党の顔」とは言い難い、立ち技より寝技が得意なこの七十五歳の長老に野田が期待する最大の役割は「党内和平」の実現である。
首相職に専念する党首に代わり、党運営と国会対策、選挙対策の司令塔となる与党第一党の幹事長に第二院である参院議員が就いた例はない。参院のドンとして君臨してきた輿石にしても、党所属国会議員の七割以上を占める衆院議員の中で気心の知れた議員は一握りしかおらず、カウンターパートとなる自民党幹事長石原伸晃とは信頼関係どころか、まともに言葉を交わしたこともない。政権を賭けた衆院選の陣頭指揮を振るった経験も無論なかった。
およそ政権党の幹事長としての適性に欠ける輿石に野田が白羽の矢を立てた理由は周知の通り、小沢一郎との関係の深さだ。小沢派の反乱を防ぐには、小沢が信頼する議員を党の実権を握る幹事長に据えるしかない。そう覚悟を決めた野田が小沢系という限られた選択肢の中から、消去法で選んだ「よりまし」な幹事長候補が輿石だった。