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政治

《土着権力の研究》北海道 十勝毎日新聞

他の追随許さぬメディア複合企業

2011年10月号

 


 札幌から東へ直線距離で百キロ余り。車で三時間以上、JR北海道の特急を使っても二時間以上かかりようやく辿り着く先に、平野が広がる。広大な土地を背景に、農業を基幹産業とする道内随一の畑作地帯である。酪農も含めた農産物における「十勝ブランド」については、いまさら説明の必要もないだろう。  

 十勝モンロー主義―。  

 この土地の気質を評す言葉だ。じゃがいも、てんさい、小麦、酪農など、ここの農家は総じて規模が大きく、比較的裕福だ。地元男性が語る。

 「よそ者の助けは必要としない。十勝は十勝ですべておさめる」

 この排他性は、帯広市にある地場デパートの藤丸、帯広信用金庫といった地元企業の底強さにも表れる。新千歳空港で買い求められる「北海道土産」の定番として有名な菓子メーカー二社も十勝に本拠を置くなど、「土着企業」が多い。  

 この「モンロー主義」に支えられ、また自らも地で行くのが十勝毎日新聞である。人口三十六万人の十勝で夕刊専門紙ながら・・・