大詰め迎えた中国「権力闘争」
「土地バブル責任論」めぐり攻防激化
2011年10月号
中国の政局は凪のように静かに見える。十月の中国共産党中央委員会第六回全体会議(六中全会)が近づき、緊張が高まっていることの反作用だ。来年の党大会で正式に選ばれる政治局メンバーの候補者がここでほぼ固まるのである。
次の党総書記・国家主席に選ばれることが確実な習近平国家副主席の公式の活動がめっきり減ったのも、この影響だ。習副主席の政権を支えるのは江沢民派、太子党派だが、彼らには不安材料がある。党長老や軍に影響力を持つ江沢民前国家主席の健康不安だ。そのうえ江沢民派が推す次期政治局常務委員候補者の張徳江副首相に高速鉄道事故の責任問題も浮上。敵対する温家宝首相は、事故調査委員会から江派人脈の鉄道省幹部を排除したが、江派が水面下で巻き返し、事故報告書の公表は何とか六中全会後の十一月中旬に延期させている。
一方、胡錦濤国家主席の共青団派(団派)も、首相候補者に李克強副首相を推しているが、いい風は吹いていない。十月一日の国慶節を挟んだ「金の九月、銀の十月」は例年なら株式市場が活気づく時期だが、今年は株価が下がり続け、不動産価格も低迷を続けている。中国経済がハードランディングす・・・