「暗殺集団」と化した米CIA
対テロ戦争の主役に
2011年10月号
オバマ米大統領の下で、中央情報局(CIA)が諜報機関から秘密戦闘機関に変貌している。変化はブッシュ政権時代から始まっていたが、経済再生を最優先するオバマ大統領は、比較的安価で効果が上がるCIAの隠密作戦を、対テロ戦略の中核に据えた。今や関係者の間で「セントラル・キリング・エージェンシー(CKA)」と揶揄されるほどで、就任時に掲げた「汚い戦争からの脱皮」は、完全な空約束になった。
リビアの首都トリポリで、反カダフィ派の攻勢が世界中のメディアで生中継されていた八月二十二日。カダフィ体制の抑圧から十代で抜け出した、あるリビア人男性が、パキスタンの荒涼とした山岳地帯で、無残な最期を遂げた。国際テロ組織「アルカーイダ」最高幹部の一人、アティーヤ・アブドゥルラフマンが、連邦直轄部族地域に突如飛来した米無人爆撃機の攻撃を逃げ切れなかったのだ。
同じ頃、やはり内戦状態に陥っていたイエメンでは、CIAが全く別の戦争準備をしていた。反米テロリスト攻撃のため、無人の荒野に航空機用の滑走路建設を極秘で進めていたのだ。だれがこの国の支配者になろうと、お構いなしと言わんばかりに、イエメン版・・・