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WORLD

《世界のキーパーソン》シェイク・アフマド・ビン・ジャーシム・アールサーニー (アルジャジーラ 新社長)

中東最大のメディアの再生を担う

2011年10月号

 


世界で一、二を争う富裕国の王族である。元首のハマド首長からいうと「いとこの子」にあたる。 前任者ワッダーハ・ハンファル氏辞任(事実上の解任)を受け、衛星チャンネルの総数が二十以上に拡大した中東最大の「自由メディア」アルジャジーラを総攬する地位に就任した。  

 ハンファル前社長がイラク報道をめぐって米政府と裏取引をしていた、というウィキリークスの情報流出が今回の辞任劇の背景といわれるが、前社長は英語チャンネルに出演してこの疑惑を完全否定した。いわく「米国には(カブールとバグダッドの)支局を爆撃されたぐらいだから、圧力は日常的に受けていた。しかし、いかなる国や機関にも、指図されるがままの報道をしたことはない」。

 圧力に屈したことがない、との言葉の真偽はさておき、今回の人事の本当の原因は他にある。

 「これまでアルジャジーラにどのような変化が起きていたかを考慮すれば、トップの首のすげ替えは必然だった」と消息筋は言う。そして汎アラブ紙には「イスラム勢力に打撃」の見出しが躍る。前社・・・