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WORLD

迷える米国の「アジア戦略」

中国の顔色を気にし始めた

2011年10月号特別リポート

「米国は太平洋におけるわれわれのプレゼンスを約束している。米国は太平洋国家だ。つまり、安全保障に関するチームのあらゆる要素がここに残らなければならないということだ」「中国の台頭が意味するものにどう対応するかの長期的な挑戦を知りながら突如として撤退、撤収はできない」と明言したヒラリー・クリントン米国務長官発言を吟味する必要がある。八月十六日にCNNテレビの討論会に登場した同長官は、巨額な財政赤字の中で大幅な縮小を迫られている国防予算と中国の仮借ない軍事力拡大の狭間で、日本をはじめとする同盟諸国に対し「米国を信頼してほしい」と確約してみせたのである。

ではなぜ、ホワイトハウスは九月二十一日に、二〇〇七年から要請されていたF16C/D型戦闘機六十六機の台湾向け売却を見送り、旧式のF16A/B型百四十四機の性能を向上する措置を取る旨の発表をしたのだろうか。中国、台湾の双方に含みを持たせたつもりのオバマ大統領の政治的決断だろうが、「米国は太平洋国家だ」とのクリントン長官の決意にもかかわらず、北京に対して腰の引けた大統領の態度だけが目立つ。  

東・・・