Book Reviewing Globe327
鋭い「北東アジア」論
2011年9月号
The Making of Northeast Asia――Kent Calder & MinYe(Stanford University Press 2010 $24.95)
中国、台湾、日本、韓国の北東アジアのGDP(二〇〇八年=PPPベース)は全世界の二一%となり、北米自由貿易協定(NAFTA)の二四%、EUの二一%とほぼ並んだ。
にもかかわらず、北東アジアではいまもなお「ジャングルの法則」が支配しており、米国のプレゼンスなしには地域の安定は覚束ない。領土問題と歴史問題が壁となり、まとまりのある地域アイデンティティーと地域機構を形成することができない。経済統合は進みつつあるものの、その政治的表現である地域機構が育たない、深刻な
“組織ギャップ”が存在する―こうした悲観的な見方が支配的である。
この本の共同執筆者であるケント・カルダー教授(ジョンズ・・・・