みずほのシステム障害いまだ深刻
経営基盤を蝕む重い「後遺症」
2011年9月号
今年八月八日、京都府警はみずほ銀行(BK)が預金者救済のために行った「特例支払い」を悪用して、同行から二十五万円を騙し取ったとして、自称・自由業の男を逮捕した。特例支払い詐欺としては、全国でも初めての摘発とされている。
東日本大震災直後の三月にみずほが引き起こした大規模なシステム障害―。BKは三連休となった同十九~二十一日にATM業務を全面停止。資金を引き出したい顧客には、口座の有無さえ確認できれば、たとえ残高がゼロであっても一回十万円までなら手渡しで現金を仮払いするという「前代未聞の営業体制」(メガバンク関係者)を余儀なくされた。これにより払い戻しを強いられた資金の総額は百九十六億円。大半は後始末が終わって何とか回収にこぎつけたものの、なおおよそ四億円が不明・未回収のまま。詐欺が摘発されたとは言っても、いわば「氷山の一角」であり、むしろみずほが陥った闇の深さの一端をこそ窺わせた格好だ。