《政界スキャン》
「後継者育成」をしなくなった
2011年9月号
戦後三十三人目の首相が誕生するが、この稿を書く時点では、誰が就任するかわからない。
平均二年、最近は一年の短命政権が続いている。なにしろ、五年半もった小泉政権が退いてからの五年間に、安倍、福田、麻生、鳩山、菅に次いで六人目、よその国が驚きあきれるのは当然だ。
同じ敗戦国のドイツの場合、戦後初代の名宰相、アデナウアーからいまのメルケルまで首相が八人、平均在任期間が八年を超える。日本の最長は佐藤榮作の七年八カ月だから、ドイツの平均をクリアした首相は一人もいない。短命の連続が日本の国力低下とむすびついたことは間違いないが、その話はもう聞き飽きたと言われそうだ。
しかし、短命問題は制度上の欠陥だけでなく、さまざまな要素がからみ合っている。その一つは後継者をどう育てるかだろう。首相に限らずトップに就くには、
「準備、覚悟、目標の三つが不可欠」
といわれてきた。鳩山由紀夫、菅直人の二代を振り返ると、三つとも貧弱だった。先輩に後継者候補として扱われ・・・