祝福なき野田政権の船出
霞が関「丸抱え」内閣となる運命
2011年9月号
「民主党の新しい代表に野田佳彦さんが決まりました」
八月二十九日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ「鶴の間」で開かれた民主党代表選は、野田と経済産業相海江田万里による決選投票にまでもつれ込んだ。しかし「激戦」というより「本命なき乱立」の果ての消去法による選出劇。表向きは挙党一致を唱えながら結果として深い亀裂を生んだ。それは遅かれ早かれ新政権の行き詰まりを強く暗示させるものであった。
ちょうど二年前の八月三十日、衆院総選挙で民主党は悲願の政権交代を果たし、熱気に沸いていたのが嘘のようだ。当時の代表鳩山由紀夫は「国民の怒りが期待に結び付いた」と興奮した口調で勝利宣言を行った。その鳩山は一年も持たずに退陣。さらに鳩山を継いだ菅も一年三カ月足らずで首相の座を追われた。政権交代から二年で三人目の首相誕生という異常事態に陥った。この現実を前に新代表選出の高揚感は微塵もなく、逆に迷走し続ける民主党に「国民の怒り」の矛先が向かう。民主党にとって再出発を目指した代表選が逆に崩壊の序章の幕開けとなる可能性が高い。