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連載

日本の科学アラカル12

生物学と化学が融合した革新的 「創薬」技術

2011年8月号

「創薬」をする上で、候補となる物質を確保することが重要であることはいうまでもないだろう。
 候補物質が生体内でどのように働き、有用である(薬としてなんらかの疾病等に対して効果を持つ)かを判別することが重要な作業だが、その前段階として候補となる物質がなければ意味がない。
 現在、多くの製薬会社は、微生物、昆虫、植物などから得られる代謝物などや人工化合物などを膨大に蓄積し「ライブラリ化」している。そしてこのライブラリから薬として有望な物質を見つけ出しているが、現実には一千万というオーダーで蓄積された物質があっても、薬剤候補を得ることをは容易ではない。
 仮に、これを上回る種類の膨大な薬剤候補ライブラリをつくることができ、さらにその中から有用な物質となる候補を容易に選び出せれば、創薬における「革命」と呼んでさしつかえないだろう。
 そうした研究に取り組んでいるのが、東京大学大学院総合文化研究科の村上裕准教授だ。
 生命システムを支えるタンパク質(ポリペプチド)は、二十種類のアミノ酸が鎖状に繋がったものである。このわずか二十種のアミノ酸だけでな・・・