「サボタージュ官僚」の亡国
政権機能不全を口実に職務放棄
2011年8月号
良い意味でも悪い意味でも、日本の「背骨」を支えてきた官僚が、いよいよ、本格的に壊れてきた。東日本大震災後、震災対応と菅直人総理大臣の機能不全を口実に急増した「サボタージュ官僚」のことだ。
被災地の復旧作業の遅れは、自治体と国の連携の悪さによるところが大きい。そして、その原因のかなりの部分は、中央官僚の怠慢にある。安倍晋三政権に端を発した激しい官僚叩きに何とか耐えてきた官僚の多くが、菅政権の現状に絶望し、仕事をしないことに何の痛痒も感じなくなっているのだ。
怠慢の証左は、総理大臣官邸に、省庁から案件がほとんど上げられないことに表れている。
「政務案件ではないちょっとした政策の説明なのに、総理へのアポイントメントが、前日に申し込んでも入る」
ある中堅官僚は半ば呆れ顔で、閑古鳥が鳴く官邸の実態を打ち明ける。官邸詰めの秘書官が「本当に暇だ」とあっけらかんと言うのも、各省庁から総理大臣や官房長官のもとに送り込まれている彼らの仕事の大半が、出身省庁から持ち込まれる案件に対応することだからだ。もちろん、「主人」からの指示を出身省庁に下ろす仕事も重要なのだが、菅の指示は内閣での調整すら・・・