政治でつまずくインドネシア
好調経済の足を引っ張る
2011年8月号
東南アジアの大国インドネシアがまたしても空中でもがいている。二億の国民が乗る「大型機」はエンジンである「経済」の好調によりようやく離陸したかに見えたが、ここへきて「政治」の混迷により失速が危惧されている。
バリ島で七月十九日に開かれた、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に先立つ開会演説で議長国インドネシアのユドヨノ大統領は法的拘束力のある「南シナ海行動規範」の早期策定を訴え、「ASEANは平和と安定の真の貢献者であるべきだ」と強調した。また、ベトナムが南沙諸島周辺海域航行に関して、国際司法に訴えるとの姿勢にユドヨノ大統領は暗黙の了解を与え、力強く後押しした。
こうした主導的な役割をもって、ユドヨノ大統領を、スハルト元大統領やマハティール・マレーシア元首相が去って以来、「空位」が続いていた「ASEANの新盟主」と持ち上げる向きもある。
噴出する「KKN問題」
しかしその新盟主の足元はごたついている。外交への積極姿勢も、これを機に政権を浮揚させたい思いの表れなのだ。・・・