「プーチン神格化」が進むロシア
エネルギー追い風に「王朝」は盤石
2011年8月号
「プーチンは困難に直面するロシアに神がもたらした人物だ」
「灰色の枢機卿」との異名を持つ、プーチン首相の右腕スルコフ大統領府第一副長官の発言だ。
クレムリンのイデオローグとして有名なこの人物は、ロシア特有の「主権民主主義」論や官製青年組織「ナーシ」、プーチンを支持する「美女軍団」などの仕掛け人だ。ロシア政府筋のある人物はこう打ち明ける。
「スルコフは、プーチンを神格化することで、来年三月に予定されている大統領選挙で圧勝させることに注力している」
確かに、プーチンが神がかり的な人物であるとする報道が、ロシア国内で俄かに目立っている。例えば、プーチンをキリスト教の使徒パウロの生まれ変わりだと信じる女性グループの活動などが、度々新聞紙上で紹介されている。
「神よ、ツァーリ(皇帝)を護り給え」
これは帝政時代の国歌だ。最近この歌が、メディアで繰り返されており、プーチンを帝政時代のツァーリになぞらえる風潮が高まっている。現在、そのまま旧ソ連の「スターリン時代」とも重なる光景が広がっているのだ。
「恐怖政治」はなお健在
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