「チャベス重病」で揺れる中南米
「余命一年半」に米国は躍起
2011年8月号
南米の大産油国ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領(五十七歳)が今年六月、キューバの首都ハバナを訪問中に二度の手術を受け、下腹部から癌性腫瘍を摘出した。チャベス自ら「野球ボール大の腫瘍だった。体重は十四キロ減って八十五キロになった」と明かし、ベネズエラ、ラテンアメリカ(ラ米)だけでなく、広く国際社会に強い衝撃を与えた。チャベスは癌の部位は「国家機密」として特定していないが、専門医には結腸癌、前立腺癌などの転移を指摘する向きが少なくない。「寿命は一年半」とする情報さえ飛び交い、大統領選挙を来年末に控えたベネズエラの政情は不確実性が増している。チャベスと冷戦状態にある米国は活気づき、ベネズエラ国内の反チャベス勢力への梃入れを強化しようとしている。
「余命は一年半あるかないか」
チャベスは一九九八年の大統領選挙で初当選し九九年二月に就任したが、新憲法制定を経て三選し、来年四選を目指す。現在の六年の任期は一三年一月に終わるが、再選されれば一九年までの新任期が保障され、計二十年の長期政権が実現することに・・・