乱高下止まらぬ原油市場
投機筋の標的はここでも日本
2011年8月号
二〇一一年に入ってから原油価格が再び高騰を始め、四月には米国ニューヨーク市場のWTI原油価格が一バレル百十三ドル、ロンドン市場の北海ブレント原油価格が一バレル百二十六ドルと、○八年夏以来の高値にまで高騰した。原油価格高騰の再来という悪夢に先進国は怯えている。
近年の原油価格の推移をみると、○八年七月に一バレル百四十ドル超をつけた後は、○八年末に三十ドル台まで暴落し、その後昨年を通じて八十ドル前後で安定していた。それが今年に入り再び百ドル超と暴騰し、まさにジェットコースターのような乱高下を見せている。この背景には、限りなく金融市場化した原油市場における投機資金の動きと新興経済発展諸国による石油の爆食、中東産油国における地政学リスクなどの市況要因が複雑に絡み合っている。今年に入っての高騰も、米国における金融緩和政策第二弾(QE・)による原油市場への過剰なマネーの流入、チュニジアに端を発した中東アフリカ情勢の混迷などが原因となっていること自体、間違いではない。
しかし、これまでも激しい変動を繰り返してきた国際原油市場にあって昨今、浮き彫りになっている原油価格形・・・