今春の全米世論調査で、「オバマ大統領と互角に戦える候補」に躍り出た。サラ・ペイリン前アラスカ州知事ら共和党の他の候補は、大統領に一五～二〇ポイント差をつけられているが、ロムニーだけは僅差で上回ることもある。「どの候補が共和党の候補としてふさわしいか」という調査では、一貫して二〇％前後で一位を占めることが増えた。米国のメディアも「先頭ランナー」として認知し始めた。
　弁舌滑らかでハンサムな大金持ち。ビジネスでも政治でも成功を収め、政治哲学は元来穏健、とあれば、共和党の救世主と見られてもおかしくない。だが、共和党主流や政治メディアはなお懐疑的だ。ニューハンプシャー州の共和党候補者討論会を見た米人記者は、「まるでアマチュアの試合。大物も、本命もいない」と嘆いた。
　その理由は、ロムニーがモルモン教徒であることだ。アメリカの大統領は、カトリックだったケネディ以外は、ほとんどが新教。カトリックは人口の四分の一、新教は半数以上を占めるのに対して、モルモン教徒は一％台で、圧倒的少数派だからだ。
　ただ、次回の大統領選には、もう一人のモルモン教徒、ジョン・ハンツマン前ユ・・・