《政界スキャン》
菅夫人も輪をかけた「常識はずれ」
2011年7月号
とりあえず菅直人首相の粘り勝ちである。菅政権のもとで七十日間の延長国会が始まり、退陣時期は依然としてはっきりしない。しかし、勝ち、という表現は適当でないだろう。
なぜなら、首相が辞任を口にした瞬間、政界はもとより国内も国外も首相として認めなくなるから辞めざるを得ない。どの首相もそうしてきた。勝敗の問題ではない。
通例、首相職のあり方として、辞職の直前までその意思は口外しないのが基本動作である。内外への影響を極力小さくするためだった。唯一、菅だけが「一定のメド」とか「新体制のもと」とかまぎらわしい言葉を駆使しながら、口外後も居座りをはかっている。憲政史上初めての異常で国益無視の実験をしているようなものだ。なぜそこまで粘るのか。
「伸子問題だ」
というのが永田町のもっぱらの見方である。菅が弱気になりかけると、伸子夫人が叱咤する図式が描かれているらしいが、そうとも限らないようだ。
これまで首相の進退問題は何度となく騒がれたが、夫人がむきだしの介入をした例はない。多少噂にはなっても、控え目・・・