三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

増強続く北朝鮮「サイバー部隊」

背後には中国の影も

2011年7月号

「サイバー戦は、強力な日本軍と戦ったパルチザンの闘争部隊と同じようなもの」
 これは北朝鮮のサイバー戦担当者の言葉だ。北でコンピューター技術を教えていたという脱北者、金興光氏が月刊誌に寄せた手記の中で明らかにした。
「北のサイバー部隊は国策として強化されており、その攻撃能力は飛躍的に進化している」
 ソウル在住の脱北者の取材を続けるジャーナリストはこう指摘する。国を挙げての「ハッカー育成」により、「秘密部隊」は想像以上に大掛かりな組織になっている。

日本からの「輸出」機器も


 四月十二日に韓国の農協が何者かによるサイバー攻撃を受けシステムダウンを起こしたことは記憶に新しいだろう。なんの前兆もなく、韓国内の一千百以上もの農協店舗の現金自動預払機(ATM)が動かなくなり、インターネットバンクも使用不能になった。「麻痺」は二十四時間にも及び、完全復旧には半月を要した。
 このダウンの原因となったハッカーは、中国のIPアドレスを利用して、まず農協のシステム管理者の・・・