ロシアが狙う「宇宙覇権」
軍近代化とも連動
2011年7月号
ロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)のホームページには、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士の顔写真が誇らしげに掲げられている。その中にはもちろん、六月にロシアの宇宙船「ソユーズ」でISSへ向かった古川聡氏の姿もある。
世界の宇宙開発は、新たな局面を迎えようとしている。莫大な財政赤字を抱える米オバマ政権は、宇宙開発計画を縮小し、ISSへの輸送や低軌道の商業衛星打ち上げまで民間委託することを検討している。そして、米宇宙開発の象徴であったスペースシャトルが、七月八日の打ち上げを最後に、その三十余年の歴史に幕を閉じる。
このため、ソユーズが唯一のISSへの人員輸送手段となることから、有人宇宙事業はロシアの独壇場と化すのだ。開発後四十年以上が経過するソユーズが、安全かつ経済的であるとの評価は揺るぎない。
このタイミングを見計らっていたロシアは、宇宙産業を重点強化し「覇権」を狙っている。またその背後には「軍近代化」の思惑も隠されている。
「対米優位」を確立したい
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