強権化する欧州人権裁判所
各国の内政問題に土足で干渉
2011年7月号
欧州随一の治安を誇るドイツの社会を支える制度の一つに、「予防拘禁」というものがある。常習の性犯罪者や薬物犯罪者などの凶悪犯から社会を防衛するため、刑期の終了後も引き続き凶悪犯を刑務所に留め置くことができるという実用的な制度だ。すでに八十年近くの歴史を有する現在では社会に深く根付いており、同国の治安改善に大きく寄与している。
殊に犯罪の凶悪化が喧伝される近年では制度の真価が認められ、さらなる活用のための法律改正が相次いでいる。古くは、一九九八年に当時の右派連立政権が、従来の期間制限を撤廃して無期限拘禁を可能としたが、後任の左派連立政権のシュレーダー首相(当時)もこの制度について「性犯罪者は永久に閉じ込めろ!」と息巻いた逸話がある。また、二〇〇四年には中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が主導する州の要求を発端として、判決言い渡し後にも予防拘禁命令が出せるよう左派連立政権が法律を改正した。つまり、ドイツでは予防拘禁制度は政党の左右を問わず支持されており、連邦憲法裁判所(憲法裁)も〇四年に予防拘禁制度は合憲という判決を出していた。
ところが、今・・・