仏「アレバ」に何が起きたのか
敏腕女性社長「解任劇」の内幕
2011年7月号
世界の原子力業界の最大手「アレバ」が六月、アンヌ・ロベルジョン社長兼CEOの解任という激震に襲われた。ニコラ・サルコジ大統領との確執が原因とされたが、東京電力・福島第一原発事故後に日本でも有名になった「原発大国の顔」の退陣は、フランスの原発産業が重大な岐路に立っていることを物語っている。
今年で就任十年を迎えた「アトミック・アンヌ」の去就劇は、フランス経済界で近年にない騒動になった。ロベルジョン氏は、六月末の任期切れを前に、アレバ社の取締役を大動員して、政権に「再任」を働きかけた。超党派議員団も再任を求めた。
今年三月に東日本大震災が起きると、これを追い風に利用。自身も大震災後に二度来日し、原発事故処理に自社技術を使うようトップセールスをかけ、汚染水処理などの契約をもぎとった。事故後は、「原発の安全性」が世界中で問題になったことから、アレバ社自慢の「欧州加圧水型炉」(EPR)が新たな注目を集めた。ロベルジョン再任は一時、「止められないように見えた」(英エコノミスト誌)。だが、六月十六日、マティニョン宮(仏首相府)は、「再任しない」と発表、騒動に終止符を打・・・