米撤退後の中東情勢
浮上する新「悪の枢軸」
2011年7月号特別リポート
オバマ大統領は六月二十二日に、アフガニスタン駐留十万人のうち、年内一万人、二〇一二年夏までに総数三万三千人を撤退させると発表した。
七月中に開始されるアフガニスタン駐留米軍の第一次撤退は、米国民が希望する「光栄ある撤退」になるのか、「敗退」になるのか。歴史的評価は撤退の期限にあたる一四年以降になってみなければ定まるまい。が、イラクに次ぐアフガニスタンからの米軍引き揚げは、規模の大小はあっても、米国の世界的に繰り広げられたプレゼンス手仕舞いの号砲になるだろう。
国際秩序はすでに変化しつつある。パキスタンは露骨なまでに米国離れを示し、中国との距離を縮め、サウジアラビアなど中東諸国との関係強化に動き出した。米国がアラブ諸国に起きているいわゆる民主化革命の「アラブの春」に一貫した政策をとれないでいる状況をいち早く察知したサウジアラビアは米国に依存してきた外交・防衛政策を転換しつつある。
中東の「民主化革命」を力で押しつぶそうと謀っているのがリビアとシリアだが、そのシリアはサウジと対立関係にあるイランの強力な後押しをテコに、国際社会の常識に逆行し、民主・・・