三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

四輪でも躓くホンダのインド事業

シェア低落に系列会社もそっぽ

2011年7月号

「先進国の自動車販売が不振のなかにあって、当社はインドと中国を最重要市場と位置付けており、可能な限り成長を実現させる」
 ホンダの伊東孝紳社長は二〇〇九年末、デリーで報道陣を前に「インド重視の姿勢」をこう息巻いてみせた。だが、状況は極めて厳しい。この二年間で百五十万台から二百五十万台へ飛躍的な急成長を遂げているインドの乗用車市場で、ホンダのインド四輪「ホンダシエルカーズインディア」(HSCI)は二〇一〇年度の販売台数で前年比マイナス四%に沈み、この急成長市場で完全に取り残されたのだ。
 同社はこれまでも、まるで坂道を転がる石のごとくシェアを低落させてきた。〇七年度の四%から、〇八年度には三・四%、〇九年度には三・一%、ついに一〇年度は二・三%にまで落ち込んだ。「弱腰」の経営姿勢によって成長機会を逸するホンダは、激化するインド乗用車競争からいち早く脱落する公算が高まってきた。

深刻な「意図せぬ系列解体」


 五月初旬、デリー郊外ノイダ。HSCI本社で、現地幹部は衝撃的な数字を目に・・・