「住宅」に執念の豊田章一郎
「一代一事業創出」のために
2011年7月号
東日本大震災から四カ月目を迎えようとしている。震災によるサプライチェーン(部品供給網)の寸断により、トヨタ自動車をはじめ国内自動車産業は国内外の生産拠点で大幅な減産を強いられている。ほとんどの国産車メーカーが二〇一一年七月には生産が正常化すると発表しているが、震災に伴う国内景気の不透明化や、震災復興財源の捻出を名目とする高速道路割引打ち切りや、子ども手当などの削減に伴う消費減退で国内自動車市場が回復するかどうかは未知数だ。さらに海外市場でも販売に急ブレーキがかかるなど、不調が続いている。トヨタも例外ではない。そこでトヨタは復旧活動と並行して、こうした「逆風」に対応すべく動きだした。長年、鳴かず飛ばずだった住宅事業へのてこ入れである。なぜ住宅事業なのか?
大震災に乗じて
六月某日に東京都内で開かれたスマートグリッド(次世代送電網)の展示会で、トヨタは自社のプラグインハイブリッドカー(PHV)や太陽電池などを利用して、住宅用に電力を安定供給する分散電源を提案した。
「トヨタは〇四年、愛・・・