東電が死守する「配電事業」
発送電分離よりも恐れる最大の利権
2011年7月号
電力会社の地域支配がここまで糾弾されたことは、かつてなかっただろう。福島第一原子力発電所事故の賠償スキームとそれに伴う東京電力の存続問題が議論される中、電気事業の地域独占を問い直す「発送電分離議論」が大きな注目を浴びている。発送電分離を巡り、官邸と東電の攻防は日増しに激化しているが、今の発送電分離議論には決定的に欠けている視点がある。「今の議論を続けている限り、東電の独占体制を壊すことは永遠にできない。なぜなら『配』の議論、つまり配電事業をどう扱うかの議論が抜けているからだ」(学識者)。
十電力会社すべてが反対勢力に
発送電分離は文字通り原子力、火力といった発電事業と電力系統を運用する送電事業を切り離すことを意味する。このうち送電事業は漠然としたイメージで語られることが多いが、電力業界で送電という場合、通常は発電所から変電所を経由する部分しか指さない。六千六百ボルトの配変と呼ばれる変電所から先は、「配電」として明確に区分されている。この配電事業こそが、東電の地域独占を支える土台なのだ。{br・・・