「石炭」でもカモられる日本
強気の資源メジャーに足元みられ
2011年7月号
福島第一原子力発電所事故の衝撃も冷めやらぬ四月初旬、日本の電力企業の幹部に大きな衝撃が走った。東日本大震災の影響から発電用燃料である一般炭の価格交渉を任されていた中国電力が、スイス系資源メジャーであるエクストラータとの相対交渉で、二〇一一年度購入価格で一トン当たり百三十ドルと過去最高値をのまされたのだ。中国電力幹部は溜息まじりに述懐する。「日本の原子力推進政策が頓挫したことで足元をみられたせいか、これまでになく資源メジャーは強気だった」。
これまで、世界最大の石炭輸入国として、日本は石炭の国際輸入価格で主導権を発揮していた。しかし、昨今の中国による「買い漁り」によって、石炭価格は急激な高騰を続けている。日本の電力エネルギーの四分の一を占める石炭火力の発電コスト上昇は、すなわち電力料金の引き上げをもたらすこととなり、日本企業の国際競争力への影響も甚大だ。
石炭火力への傾斜で市場は一変
石炭といえば、十八世紀後半の英国に始まる産業革命の蒸気機関を思い浮かべ、忘れ去られた過去のエネルギ・・・