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連載

日本の科学アラカルト10

百年目の「超電導」技術 エネルギー分野への応用研究進む

2011年6月号

 二〇一一年は「超電導」が発見されて百年という節目の年に当たる。一九一一年にオランダの物理学者ヘイケ・オネスにより発見されたこの現象は、「電気抵抗がゼロになる」という表現で知られた比較的ポピュラーな物理現象である。
 そもそも絶対零度(マイナス二七三℃、〇K)という状態では、金属の電気抵抗がどうなるか意見が分かれていた。この状況下では金属内部の伝導電子の活動がなくなり、抵抗がゼロになる可能性は指摘されていたが、液体ヘリウム(四K)の作製に成功したオネスは、絶対零度手前の四・二Kで、水銀の抵抗がなくなっていることを発見したのだ。
 それから七十年以上経過した八六年、IBMチューリッヒ研究所が、それまで絶対零度近傍だった温度を一気に液体窒素レベル(マイナス一九六℃、七七K)にまで上げて超電導を起こす現象を発見する。これを学術的には「高温超電導」と呼ぶ。この発見を機に、超電導の「実用化」に向けた研究が一気に進むこととなった。
 直流電流の抵抗がゼロになることにより、導体に大電流を流すことが可能になり、コイルを作成すれば極めて強い磁場を得られることになる。つまり強・・・