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政治

《土着権力の研究》大阪府 辻野源治

農協を一つ潰した泉州の政商

2011年6月号

「あいつ、まだワルさしとったんか」
 幼なじみは呆れた口調で語った。「あいつ」とは、大阪は泉州の「政商」、辻野源治のことだ。辻野は今年一月十一日、建造物損壊の疑いで大阪・泉南署に逮捕された。本人は否認しているが、抵当権付きの建物を勝手に解体したという乱暴な容疑だ。この幼なじみの言葉を借りれば、「昔から法律とか道徳とか無縁の奴で、好き勝手ばかりやってきた」人物である。
 泉南市の同和地区に生まれたとされる辻野は現在、七十歳。その名を一躍轟かせたのは一九九七年の関西国際空港での「事件」だ。
 当時、辻野が経営する辻野産業は関空二期工事の土砂採取地になるのを見込んで、大阪府岬町の山林を買い占めていた。ところが大阪府の決定は、辻野が持っていた山側ではなく、海側になってしまった。そこで辻野は決定を翻すように、岬町町長に京都で芸者をあてがうなど強烈な接待を仕掛けた。町長だけでなく、町議や、なぜか故・田中角栄の秘書も同席していた。辻野は土砂採取地跡に、大手メーカーと組んで分譲住宅地を造成する目論みだったとされる。

二階俊博との繋がり

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