覚醒剤製造に精出す北朝鮮
いまや「中朝問題」に
2011年6月号
北朝鮮がかねて「製造・輸出」してきた覚醒剤が、ここにきて中国や日本を巻き込んだ国際問題として深刻化しつつある。
中国語で「氷毒」と呼ばれる覚醒剤は、近年その流通が大幅に増え、当局は取り締まりに躍起になっている。そして、国外から流入する覚醒剤のかなりの部分が、北朝鮮からの流入によるものとみられている。
吉林省の新聞報道によれば、今年四月一日、中朝国境にある同省長白朝鮮族自治県の裁判所は、覚醒剤取引に関与した男性容疑者に対し、懲役九年と罰金三万元の判決を出した。この判決によると、容疑者は深夜に中国側で、北朝鮮住民から覚醒剤二百グラムを受け取ったところを、取り締まり当局に急襲されたという。
五十グラム以上の所持で死刑になることもある中国において、二百グラムという「量」が注目された。北朝鮮取材の長い日本人記者はこう語る。
「これは氷山の一角。北朝鮮東北部と中朝国境地帯の薬物汚染はかなり深刻だ」
北側も放置しているわけではなく、薬物犯には公開裁判を行い、場合によっては死刑にするなど強い姿勢で臨んでいるという。
日本も無縁ではない
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