インドが外資呼び込みに躍起
直接投資が伸びぬ「意外な」実態
2011年6月号
「今回の政策変更は、手続き簡素化と合理化によって投資家の信頼を得る継続的努力の一環だ」
三月三十一日、インドのアナンド・シャルマ商工相は突如として「外資規制の大幅緩和」を発表した。これまで日系企業をはじめ、インドに進出する外資系企業を悩ませ続けてきた、ある「厄介な法律」が撤廃されることになったのだ。この「厄介な法律」こそ、既得権益に蝕まれたインド経済の根深い病巣を象徴するものだった。
外資政策の思わぬ方向転換。インド政府は間違いなく正しい方向に舵を切ったと言えそうだが、その背景にはインド政府がこの一年、追い込まれ続けてきた「原因不明」(国連貿易開発会議〈UNCTAD〉調査局)の対内直接投資の急減がある。「官僚主義と汚職、電力や物流などインフラ問題、偏屈な労働法、不動産の取得規制、政治的リスクなど巷で言われるインド進出の障壁は数あれど、どれも昔から言われてきたことばかりだ。ここに至って、インドだけ投資が減速する理由はよくわからない」(日系企業関係者)。
今回の思いきった規制緩和も、直接投資の急減に頭を悩ませるインド政府の「窮余の一策」ともいうべき・・・