中国は激しい「権力闘争」の季節に
次期首相争いが当面の焦点
2011年6月号
中国の権力闘争が荒れ模様だ。共産党の次の総書記を選ぶ第十八回大会を来年秋に控え、すでに権力闘争は激しくなっていた。問題はその構図の変化だ。胡錦濤国家主席の率いる中国共産主義青年団(共青団)派の優位が崩れ、江沢民前主席など保守派の影響力を背にした習近平副主席ら太子党に勢いが目立つ。太子党から今後ダークホースが飛び出す気配もある。
蠢く米国の影
嵐の兆候は芸術家の艾未未氏に対する弾圧事件の行方だ。艾氏は北京五輪のメーン会場「鳥の巣」をデザインした著名人だ。ある日突然、公安当局に連行された艾氏についてクリントン米国務長官ら欧米各国が強い関心を寄せている。公安当局は身柄拘束の理由を脱税容疑としているが信じる人はいない。中国では民主活動家に対する弾圧は珍しくないが、艾氏が注目されるのは事件に胡主席一族のスキャンダルが絡んでいるからだ。
ネットでは二月の長安街デモが直接のきっかけだという情報が流れている。北京市当局が郊外にある芸術家村の地上げを強行し、抵抗する芸術家たちを暴力団に襲わせた。翌・・・