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経済

《企業研究》中部電力

関電との「経営統合」に現実味

2011年6月号

 正常に稼働している、法に適合した民間企業の設備が首相の一言で、無期限停止させられる。あってはならない事態が法治国家の日本で起きている。言うまでもなく、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の運転停止である。東海地震の可能性を前提に国が建設を認め、監督官庁も安全と判断してきた原発だが、政治家がパフォーマンスを始めれば電力会社は逆らえない。「発送電分離」など業界構造を一変させる議論も活発化するなか、東京電力、関西電力に次ぐ業界三番手の中部電力は嵐に漂う木の葉さながらに揺さぶられている。
 浜岡原発は五月十五日正午すぎ、五号機の原子炉内温度が百度未満になる「冷温停止」状態になり、全五基が停止した。浜岡原発が再び稼働し、電力を送り出せるのか、あるいはこのまま鋼鉄とコンクリートでできた廃墟となるのか、現状では誰も予想できない。停止を要請した菅直人首相にも、要請を受諾した水野明久社長ら中部電力経営陣にも明確な見通しはないだろう。浜岡原発を止めたのは、福島第一原発の事故以来、日本だけでなく世界全体に漂う「脱原発」という得体の知れない・空気・だからである。

原子力が経営上の最大の弱点

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