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経済

中国自動車市場は「ピーク」に近い

米欧日「過剰生産」の危機

2011年6月号

 二年連続で世界最大となった中国の自動車市場に変調が起きている。四月の販売台数は百五十五万二千台にとどまり、前年同月比で〇・二五%減と二年三カ月ぶりに前年比マイナスとなった。前年同月比でみると二月が四・六%増、三月が五・四%増と一ケタ台の低い伸びにとどまっており、二ケタの勢いで急膨張していた昨年までの状況から様変わりした。
 販売減速を中国の自動車業界関係者は、政府の小型車向けの取得税減税の打ち切り、北京など大都市のナンバープレート発給の抑制の影響とみている。北京、上海などでは交通渋滞と駐車場不足が深刻化しており、乗用車の数を減らさなければ都市機能の麻痺が懸念されている。
 さらにここにきて原油価格が再び一バレル百ドルを超え、夏場には過去最高値の百四十七ドルを更新するとの予測が出ていることもある。中国のガソリンは政府の価格統制を受けているが、昨年来、四回以上値上げされており、ガソリン価格の急騰が自家用車ユーザーの懐を直撃しているほか、購入予定者の買い控えを招いている。
 だが、今、注目すべきはそうした短期的な市場の伸び悩みではない。中国政府や米欧日の・・・