経済●情報カプセル
実力者葛西氏の威光を笠に節電モードに水差すJR東海
2011年6月号公開
東京電力福島第一原発事故を発端とする国を挙げての節電対策が急ピッチで進んでいる。土、日操業を打ち出し、業界全体での電力使用量一五%削減にめどをつけた日本自動車工業会をはじめ、各企業、業界とも大わらわとなっている。ところが、こうした節電モードに邁進する経済界の「空気」を読む気がそもそもない企業もある。代表格は、何かと強気な企業風土で知られるJR東海だ。
財界筋は「同社幹部に『実際どのくらい節電するつもりなのか』と聞いたら、『本音は一%まで』とさばさばしていた」と話す。「一%削減とは、電車の運行では特に節電策を講じることなく、駅の表示案内や照明などでの対応に徹するレベル」(業界関係者)と指摘する。
同社の軸足は、電力不足に苦しむ東電管内ではなく、東海地方を中心とする中部電力管内。とはいえ、中電も浜岡原発の停止に伴い、夏季の電力供給力不足への対応に頭を痛めている状況に変わりはない。JR東海と接する政府関係者も、「日本の大動脈である東海道新幹線が止められるものなら止めてみろ、というぐらいの雰囲気だ」と同社の「強気」姿勢に苦笑い。先立っては松本正之前副会長をNHK会長に送り込んでおり、政財界に加えマスコミへの睨みも万全。「永田町や霞が関では現在、菅直人総理の次に権力を握る人物は葛西敬之会長ではないかという揶揄が飛び交っている」と話す。
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