武富士を食い物にする三菱UFJ
震災にかこつけて子会社救済
2011年6月号
五月六日、破綻した消費者金融大手・武富士は管財人が会見し、「返済すべき過払い債権は一兆三千八百億円」と語り、更生計画の柱が会社分割に決まったことを明らかにした。今後は、グッドカンパニー(承継会社)とバッドカンパニー(処理会社)に分けて、前者を軸に社名と消費者ローン事業を継承し、後者で債権者への弁済や延滞債権の回収を行うことになる。
「武富士再建スキーム」が決まったとはいえ、東京地裁の認可など、まだ幾つかの障害は立ちはだかる。だが、現在水面下でこの更生計画を三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が必死に側面支援している。なぜか。
MUFGのグループ戦略における目下の焦点は、二〇一一年三月期に二千億円超もの赤字を垂れ流した、消費者金融子会社アコムの再建に道筋をつけることだが、MUFGはこのアコム再建に、武富士同様の会社分割方式の適用を画策しているのだ。いわば、武富士再建スキームはMUFGにとってアコム再建の雛型そのものなのである。そのため、武富士更生計画が滞りなく進むようにと、得意の「政治力」を存分に発揮しており、震災のドサクサで、あの手この手の我田引・・・